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かまの中へ炭材を立てる。炭材は根元を上にして立てる。このようにすると炭化のとき樹液(炭材の中の水分)が下に抜けやすく、炭化が順調に行われるばかりでなく、良い炭がやける。
品質・形の良い炭材は奥に、わるい炭材はかま前に並べる。かま奥は良い炭になるが、かま口に近いところは灰になったり、割れが出来たりして良い炭は焼けにくい。
炭材を立て込む前に敷木を敷く。炭窯は炭化中樹液が下に滲み出てきて窯底はぬれるので、炭材が窯底に接している部分は炭化がおくれる。そこで、これを防ぐために敷木を行う。敷木は枝条など小径木の炭材を使う。
炭材の立て込みが終わったら、炭材と天井の間に小径の炭材を横詰めにする。これを上げ木というが、上げ木は燃料と同じように犠牲炭材で、灰になりやすい。上げ木の熱で立て炭材の炭化が始まり、炭化が進むと思えばよい。炭窯の中で初めに温度が上がるのは上げ木の部分で、ここに十分熱が蓄積されると自発炭化がはじまる。 |
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※「日曜炭焼き師入門」岸本定吉、杉浦銀二著より抜粋 |
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口だきは炭材の乾燥が主な目的で、ゆっくり乾燥をする必要がある。始めから燃材を多量に加え、窯の温度を上げると炭材の乾燥が急速におこなわれるため、炭材の樹皮がはがれ、その割れ方が不均一になる。
クヌギの場合、木炭の断面が菊花状に均一に細かく割れることが良炭の条件だが、このためにはクヌギ炭材が乾燥するとき材の中心に髄線に沿って細かな割れ目をつくる必要がある。このために、徐々に乾燥すると炭材は中心より乾燥して細い割れ目が入る。また樹皮は密着する。このような炭材を炭化すると良炭になる。この期間を蒸煮ともいう。
炭材が乾燥するに従い、もくもく水煙が発生するが、この水煙を窯の外に出さずに窯の中にとどめて、窯の中を水蒸気がくるくる緩やかに上下四方に流動させながら炭材を一様に乾燥させる。水蒸気で暖めるので蒸煮という言葉がぴったりだが、この言葉はもともと木材乾燥の言葉である。 |
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炭を焼くとき蒸煮操作があるのは我が国の炭焼き技術だけで、このために我が国の炭は形の良い炭が焼ける。
蒸煮期間には煙道から水蒸気の多い煙が出る。これを水煙という。この排煙温度は70度以下である。 |
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※「日曜炭焼き師入門」岸本定吉、杉浦銀二著より抜粋 |
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窯の中の温度は、天井の下の上げ木の部分が初めに高くなり、上げ木は乾燥し水蒸気が出て、煙道口から白い煙がもくもくと出る。この時の煙の温度は70〜75度くらいになる。さらにたき火を続けると炭材の分解が始まり、焦げ臭い煙が勢いよく出る。煙の温度は82〜83度くらいになる。このとき、窯が着火あるいは点火したという。炭材に火がついたわけではなく、自発炭化期に達したという意味で炭材の熱分解が始まったときである。こうなると分解熱が生じて、焚き火は不要になる。そこで窯口の炭材投入口をふさぎ、下方の通風口だけ残す。
この時の煙道口の温度、82〜83度は重要な温度で、この温度は窯によってきまり一定する。もし上記の操作が早すぎると炭化は中止状態になり、窯は冷えてくる。窯の中の炭材は天井のほうから分解が始まり、次第に窯底の方へ進む。炭窯の中の炭化の進み具合は、常に天井のところから次第に窯底へ向かって進む。
炭化の進行にしたがって、煙の温度は次第に上がり、煙の色はやや褐色がかった色になる。 |
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煙道口の温度、90〜150度くらいまでは徐々に上昇しながら時間がかかるが、このときは炭材の中のセルロースが主として分解している時で、煙に酢酸など酸成分が多い。このころゆっくり炭化することが必要で、そのようにすると、窯の中に炭が多く残る。炭化の速さを早くすると煙の量が多くなり、窯の中の炭素分がガス分となって逃げる。炭化をおさえて窯の中に炭を多く残すのが炭焼きのコツの一つで、この操作は煙道口に設けた調節板(かげんふた)を徐々に引きあける事で行う。これを炭焼き師は「引きのコツ」という。
「引きのコツ」は初心者にはわかりにくいが、炭焼きはすべてゆっくりやる。このゆっくりやることが良い炭を焼く絶対条件である。 |
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煙の温度が180度を越し、200度近くなるとタールの多い煙になり、色は白くなる。そして再び煙は多くなり、もくもく出る。このときはリグニンの分解が盛んなときで、やがて煙の色にチラチラ青い煙が混じる。このとき煙の温度は220度を超し、煙は再び少なくなる。やがて煙は淡青から濃青となり、煙がなくなる。この時が炭化の終わりで、窯口を密閉して煙道口を閉じ、消化する。
煙の最後は300度くらいになる。この最後の温度が高くなるほど良炭になるが、窯口の炭材は灰になるので、炭の収量は減少する。そこで何度くらいで窯留めするか、ここが炭焼き技術の難しいところで、これは経験によるより仕方ないが、はっきりいえる事は窯の中でガスを燃やし、この燃焼熱で窯の中の温度を上げ、炭材に着火させないことである。 |
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※「日曜炭焼き師入門」岸本定吉、杉浦銀二著より抜粋 |
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窯止めしてから出炭までは早くて3日、普通4〜5日かかる。黒炭窯は土窯なので冷えにくく、徐々に冷える。徐々に冷えることが良炭をつくる条件である。急に冷やすと炭に割れが入って砕ける。
炭窯内の温度が100度まで下がると煙道口を閉じたまま、窯口をわずかに開けても炭に火はつかない。これを確認してから外気を入れて窯内を冷まし、出炭する。
※「日曜炭焼き師入門」岸本定吉、杉浦銀二著より抜粋 |
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